【石の美術館・STONE PLAZA】那須“芦野石”の歴史とアートを鑑賞

栃木県の中で大谷石は有名ですが、実は那須町でも優れた石が採掘されています。
それは《芦野石》と呼ばれる石英安山岩質溶結凝灰岩で、那須町の芦野地区とお隣の白河市を中心に採掘されています。(白河市で採掘されたものは同じ石でも《白河石》と呼ばれています)

《芦野石》は、何百年も前の会津地方の爆発的噴火による火砕流などによってできたとされ、花崗岩に比べてやわらかく加工しやすく耐火性に優れ、古墳の石室や大名家の墓所、寺社仏閣の基礎や階段・灯篭門柱、白河小峰城の石垣などに用いられました。

<白河市の小峰城の石垣は芦野・白河石で組み上げられています>
芦野石・白河石が使われた小峰城

芦野石は、鎌倉時代ごろの住民の暮らしに生かされてはいたものの、芦野石が採掘されるようになったのは1879年(明治12年)ころから。当時は白河石と称され、わずか3軒の石材業者によって手掘りの採掘・加工が行われ、土木工事用の石として付近の黒磯や白河で販売されていました。

芦野石・白河石の生産が飛躍的に伸びたのは戦後、1960年頃からで。1982年には採掘量が約5万7千tを記録。この頃が芦野石の最盛期で、石材業者も20件近くあったという。
しかしその後、韓国や中国から輸入する石材に押され需要が減り、1997年には組合を解散するまでに追い込まれている。(STONE PLAZAサイト芦野石・白河石の歴史から)

そんな中、芦野に残る《芦野石》を使った石蔵(現在のストーンプラザのエントランスホール)等を使いながら、敷地全体を石のアートを鑑賞する場所として、また、石材の可能性を広げる美術館としたい、というプロジェクトが1990年頃から進められました。
那須・芦野石の産地の象徴として、2001年1月21日に建築家・隈研吾氏の設計による【那須芦野・石の美術館ストーンプラザ】が完成オープンしました。

<古い蔵が今は美術館のエントランスホールに>
那須芦野ストーンプラザの石蔵(エントランスホール)

<水を張った池の上を石橋で各建物がつながれている>
那須芦野石のストーンプラザは水を張った池を石橋がつなぐ

新しく建てられたギャラリーは、石壁にいくつものブロック穴が空けられ、外と内側を光と風で繋ぎ、なんとも不思議な空間を作り出しています。

<石壁に空いた穴から光が差し込みギャラリーの作品を浮き上がらせる>
那須芦野石のストーンプラザ美術館のギャラリー

<石のアート作品も随所に展示されている>
那須芦野石のストーンプラザ美術館には石のアート作品も展示

館内には芦野石の誕生から、石の採掘の工法まで、詳しく展示資料で学ぶことができます。

<年代により違う石の採掘方法には興味津々>
那須芦野石のストーンプラザ美術館の資料室

芦野石が使われた主な場所
●多摩ニュータウン、港北ニュータウン
●野鳥公園旧伊藤博文金沢別邸復元工事
●日光田母沢御用邸
●成田山 山門
●旧新橋駅舎復元工事
●網町三井倶楽部 外構門柱・塀
●那須平成の森ビジターセンター/フィールドセンター

<実際に使われた芦野石を再現展示>
那須芦野石のストーンプラザ美術館で芦野石が使われた様子も再現

<旧新橋駅舎復元工事 写真提供:STONE PLAZA>
旧新橋駅舎復元工事

建てられていたそのままの場所で手を加えて使用できるようにしたのが、エントランスホールと石蔵ギャラリー、そして茶室です。茶室は地元の催しでも使われたりします。

<珍しい石で造られた茶室>
那須芦野石のストーンプラザ美術館の石の茶室

以前の石の建造物は、石壁の内側に木の柱組を加えることで構造面での問題点をクリア。材木は、那須町・伊王野地域の木材を使用しています。

<石壁の木組みの補強>
那須芦野石のストーンプラザ美術館の石蔵の木組み

余裕をもって時間が取れるときは、那須・芦野まで足を延ばして、ぜひ【那須芦野・石の美術館ストーンプラザ】をゆっくりと見学、観賞して欲しいですね。
芦野の歴史とともに、様々な場面で芦野の石が貢献してきたこと。そしてアートとしての芦野石の未来を、見て感じていただけたらと思います。

〈Dai〉


<ストーンプラザの周辺地図>


那須芦野・石の美術館 STONE PLAZA
Produced by 株式会社白井石材
※石の美術館は冬期休館がありますご注意ください
栃木県那須郡那須町芦野2717-5
Tel:0287-74-0228

※那須高原の那須町に移住してきた筆者が、那須にとけ込んだ人を“那須人(なすびと)”と称し、那須好きの人たちに那須の様々な観光情報を提供することで、“那須人”になってもらいたいと、このブログを開設しています。何か知りたいこと、聞きたいことがありましたら《Contact Us》までどうぞ。




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